胚培養士特別教育プログラムでは、臨床で用いられる技術を実践的に学ぶ「生殖補助医療胚培養実習」を今年度から開講しています。
10月29日は、クーパーサージカル・ジャパン株式会社より講師をお招きし、マウスの胚盤胞を使用したTE-Biopsyの実習を行いました。
生殖医療においては、体外受精によって得られた胚の遺伝情報を調べるために、着床前遺伝学的検査(PGT:preimplantation genetic testing)が実施されることがあります。受精卵は受精後5日目以降に胚盤胞となり、将来赤ちゃんになる細胞(inner cell mass:ICM)と胎盤になる細胞(trophectoderm:TE)に分かれ、細胞数はおおよそ300個まで増加します。PGTではTEの細胞を5~10個程度採取し、生検(Biopsy)することで、胚の染色体数(PGT-A: Aneuploidy)や構造異常(PGT-SR: Structural Rearrangement)、単一遺伝性疾患に関連するDNA配列(PGT-M: Monogenic Disorder)を調べます。TEの採取や、採取した細胞をチューブに入れる操作は胚培養士が担当し、胚培養士が習得する技術の中で最も難しいもののひとつです。
今回の実習には胚培養士を目指す6名の大学院生が参加し、講師のデモンストレーションの後、一人ずつ手技を実践しました。研究でマイクロマニピュレーターを使い慣れている学生が対象でしたが、TE細胞の採取には苦労し、技術の難しさを改めて実感していました。また、採取したTE細胞のチュービングではDNAの汚染が生じないよう、ガウン、ディスポキャップ、マスク、滅菌済み手袋を着用し、臨床の現場を意識して細心の注意を払って行いました。講師の先生は学生の実習の様子をモニター越しに確認し、詳細な技術指導やアドバイスをしてくださいました。
実習にはクーパーサージカル・ジャパン株式会社より提供していただいた「EMBRYO BIOPSY KIT」を使用しました。本実習にあたりご支援をいただいたクーパーサージカル・ジャパン株式会社様に、心より感謝申し上げます。